
少子化時代に対するサービス向上がキモ
スポンサーリンク
私立高校入試が以前と違って随分と傾向が変わってきました。もちろん入試問題というソフトの部分ではなく、システムや募集する中学生を対象とした「プレゼンテーション」に変化が見られてきたのです。これは当然「少子化」という問題がバックボーンとして存在する上に、生徒の取り合いに激しさが加速している事を証明しているのです。
もちろん偏差値の高い進学校へ入るには(それなりの)学力が必要ですが、その学校に受験する上での選択肢が広がっているのです。
まず「男子校・女子校」の区別を無くし「共学化」へシフトしている点ですね。
昔は「男子校(若しくは女子校)」で名の通ってた高校が軒並み「共学」になっていますからね。バンカラで硬派な雰囲気の男子校も、お嬢様校として知られた女子校も「男女共学」として受け入れ態勢が変わっているのです。
これはサービスというより、深刻化する少子化に対応するには男女両方を受け要らざるを得ない現実が存在するからです。先ずは生徒を受け入れる分母を大きくしておく必要があるのです。
そして無意識のうちに「子供の通う高校」を親同士で張り合う傾向があり、その一つのキーワードとして「偏差値」や「進学率」が存在します。これらのニーズに応える事が出来るのも私立高校の強みなんです。
今は「猫も杓子も大学進学」という考えが浸透しています。高校進学が当たり前の時代において「とりあえず大学」という流れがトレンドになってる以上、親としても「進学実績のある高校」を中心に受験させようとします。もちろん、これこそが「私立高校の最大セールスポイント」と言えるでしょう。
しかし闇雲に偏差値を上げる教育にシフトさせても「受験に付いてこれる中学生」も限られてきますし、何よりも全体で見ると「中ぐらいの成績」の生徒が統計的に最も多いわけです。クオリティの高い授業を行い、国公立や有名私大に進学させる目的だけでは「私立高校としての経営」に限界が見えてきます。
地方自治体が運営母体の公立高校なら「統合」という手段を用いて、一つ減らす(廃校)事が出来ます。しかし、私立は会社組織と同じですから「廃校化」は自分達の経営に関わって(ダメージ)きます。
従って「魅力ある私立高校」を全面的にアピールし、それに伴う進学実績を公表。また入りやすさもちらつかせる事によって多くの受験生を確保出来るのです。部活実績や修学両校の行き先もチラつかせて魅力を上げ、結果多くの生徒が受験します。もちろん受験料収入も確保出来る。これが私立高校の競争社会と言えるでしょう。
私学における「特進」とは?
スポンサーリンク
公立高校と違い、私立高校は学校法人として経営している組織ですから「生徒減」はイコール経営危機を意味するのです。そして少ないパイ(生徒)を確保する為に「魅力的なコース」を創設する必要があります。もちろん実績を作る事が最も説得力があるのですが、まず受験側のニーズに応えるコースを各学校は考えています。
そんな中、よく見かけるのが「特進コース」です。
まるで「猫も杓子も特進」とばかりに私立高校の案内をみると「特進コース」が併設されています。
はっきり言って「ハイソサエティなコース」であり、国公立大学及び難関私大を目指す生徒を対象にしているわけです。今や「大学進学は当たり前時代」ですから、この「特進」という言葉は親御さんや受験生にとって大変魅力的なわけですよ。
しかし、S級の進学校ならいざ知らず中間レベルやそれ以下のレベルの高校ですら「特進」というコースを設けているのが目に付くのです。
果たして偏差値50以下(40前半の高校も⁉)で特進が成り立つのでしょうか?
結論から言えば「本気で国公立大学及び有名私大を目指す」には、偏差値の高い進学校の方が断然有利です。実績がありますし、ノウハウもしっかりしてる上に集まる生徒のレベルを考えれば至極当然でしょう。
しかし、今後ますます進行する少子化を考えれば私学も安閑としていられないわけです。従って「何かに特化したセールスポイント」が必要なわけですから偏差値の高くない私学でも「進学校へのシフト化」に力を入れてます。
もちろん実績は乏しいわけですから、そのカリキュラムはハードで厳しい内容となっています。予備校へ通う時間すら作れない多忙さで徹底的に鍛えられるわけです。とくに歴史の浅い学校ほど実績を残し「名門校のカラー」を作り上げようとします。
しかし、名門大学に入れるパイは決まっているわけです。必然的に偏差値の高い進学校出身者が埋めていくのですから「特進」に入ったからと言っても「名門大学」の合格は決して約束されたわけではありません。
そこで「次なるセールス」は「進学率」です。
例えば「進学率100%」という謳い文句があれば誰でも進学に力を入れてる学校と認識しますよね。
しかし、それは「国公立大学、有名私大を中心とした四年制大学の合格」を意味したものではありません。
言葉は悪いですが「卒業生を全て大学に送り込ませる」というミッションは可能なのです。
それが「併設大学」の存在です。
つまり大学受験に失敗した生徒を「併設大学で受け入れる」のです。それがFランクの低レベルな大学であろうとも関係ありません。推薦という形で送り込めば改めて入試の必要もありませんし、進学率はいくらでも上げる事が可能になっていくのです。
「進学したい側」と「進学率を上げたい側」の思惑が合致する「ウィンウィンの関係」が成り立つわけです。
現在の私立は小学校から大学までの総合化で経営してるグループが多く、とくに偏差値の低い高校や大学は生徒集めに躍起なのです。そして「特進」「進学率」というキーワードに沿って言葉は悪いですが、一種のマジックと言えるでしょう。明らかに「クオリティ無視」のやり方に賛否両論はあると思います。それでも、内容がハードである事に違いはありません。覚悟を持ってスキルを上げるなら、決して悪い傾向ではないと言えるでしょう。
特化した内容は魅力です
自治体によって統一されていませんが「私立高校無償化」の流れも今後進んでいくと思われます。経済的に厳しい家庭も徐々に門戸が開かれていくでしょうし、少子化の流れでこそ(私学の特性を)生かしてみる時代に拍車がかかるかもしれません。
今後トレンド化していくのは「部活と勉強」を分けてより特化したスタイルだと思います。
極端な例で言えば「野球名門校」と「進学校」の並立ですね。
つまり、野球に関しては中学生の少年野球チームに所属する精鋭を「特待生」として招き入れるわけです。それだけなら昔からありましたが、スポーツで入学した生徒は一つのクラスとして纏め(それ以外のクラスは)進学重点の「特進コース」として括るのです。それぞれのクラスに所属する生徒は明確な目標が存在しますし、専門の顧問や教師が英才教育を施すシステムですね。
国公立大学、有名私大に多数の合格者を出しつつも野球部は甲子園の常連という学校挙げての「文武両道」が成り立つ仕組みです。進学校でも野球が強いという二つの側面で抜きん出ているという「スーパーハイスクール」と言えるでしょう。
また進学だけではなく将来的に社会に出た際の対策も抜かりありません。社会人生活に一早く対応出来る様なツールも用意してあります。誰よりも早くスキルアップする為の準備が必要ですからね。
また基本的に私学の教諭は公立の様な公務員ではなく「会社員」みたいな存在ですから、決して流した無気力な指導はありません。より専門的に沿った内容の授業を行ってくれると思います。
毎月の掛け金は高いですが、修学旅行先に海外を取り入れて高校も多いですし貴重な海外経験を積むことが出来るのも魅力ですね。
また入試方法も学校によって異なりますし公立高校のスタイルでの入試が厳しい生徒には選択肢が広く、自分のスタイルを発見出来る可能性も高いでしょう。さらに何らかの問題を抱えた生徒にも対応出来る教育方針の高校もあります。決して進学率だけに拘った高校ばかりではないのです。
決して私立高校だけを奨励してるわけではありませんが、これからの少子化時代には「より多様化した教育」が必要となってくるのです。そのニーズに素早く対応出来るのは私学だと思いますし、いろんな進路選択を塾考した上で(最も子供に)適した高校選びをしていきましょう。まだまだ魅力に溢れた要素は存在すると思います。
(合わせてお読みください)
スポンサーリンク