
代表チームのグレードは…
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いよいよ「ワールドカップ・イヤー」になりました。サッカーファンにはたまらない1年になりそうですが、冷静に考えて「昔と今」を比較した事はありますか?もちろんグレードの高い4年に1度の大会ですし、誰しもが母国の誇りと名誉を掛けて戦うわけです。そういう意味では昔から変わらないのですが、その価値観が変わってきてる様に思うのです。
ステイタスは維持されているとしいても、その内容が違うわけですよ。
まず、変わらない事はサッカーにおける実力分布として「欧州VS南米」の構図です。そして、各国におけるプロチームに所属する選手で形成された上での「ワールドカップ」だったわけです。それ故に「自国における想い」は今と異なった様相を呈してたわけですね。
その流れとして「自国の選手は自国のクラブ(プロ)チームに所属」してたのです。従って、スーパースタークラスの選手は別として「他国のビッグクラブ」に所属するケースは稀と言えました。
もちろん受け入れ側にも「他国籍の選手受け入れ」の制限がありましたから、所謂「外国人枠」によりクラブチームも自国選手が多く占めていたのです。しかし、その流れが「外国人枠撤廃」や移民受け入れ等により「ヨーロッパのクラブチーム」が強力になってきました。
以前ならブラジルやアルゼンチンと言った「南米クラブチーム」は「ヨーロッパの強豪チーム」に対して互角かそれ以上に渡り合ってきましたが、現在は南米の主力選手もこぞって「ヨーロッパ所属」ですから(南米クラブチームがヨーロッパクラブと互角に渡り合う事は)有り得ません。
そして、経済的に豊富なヨーロッパの強豪クラブをより強豪にバージョンアップしていくのは必然的な流れと言えます。しかし、一方で「代表チームの脆弱性」も同時に浮かび上がってきたのです。
カスタマイズ出来ない代表チーム
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代表チームの欠点は、常に選手が集まらない事です。ワールドカップの様な国際大会や、その予選でのみ招集されたメンバーで試合をします。また「国籍を要する選手」で形成されますので、補強は出来ません。あくまで自前で自国の選手を招集するしかないのです。この点でもクラブチームは、他国のスペシャリストを高額な移籍金と契約金で呼べる事ができます。
またリーグ戦やカップ戦というスケジュールがありますし、常に試合を控えてるクラブチームは如何に自チームを強化していくか?というテーマに向き合っています。またチームの財政状態も考えないといけませんので、その企業努力はトップチームに行けば行くほど厳しくなるわけです。
つまり「自前で全て」を賄っていくスタイルが「クラブチーム」の姿と言えるのです。そして、勝利を得る為には「観客動員やグッズの売上げ、ファンクラブの入会員数」という数字まで隈なくチェックしてるわけですよ。
その企業努力を惜しまなかったチームが、やがて「強豪」と称される存在へと変わってくるのです。
しかし代表チームには全てが「制限という縛り」だらけで、且つ「用意された選手」のみで結果を出さなければいけないわけです。
・代表チームのデメリット
①予算は自国の協会費。
②選手は自国の選手のみ。
③試合は国別の国際試合に限定される。
④試合数が少ないので選手の集まる機会が限定される。
⑤監督、スタッフの活動期間は限定される。
⑥選手をクラブチームから呼ぶのでコンディション不良も有り得る。
⑦戦術が十分浸透してないケースが多く個々のパフォーマンスが発揮出来ない。
上記に挙げた通り、代表チームは制限だらけで十分な運営が出来ないのです。更に選手も制限下の中で集まるわけですから「パフォーマンス」も十分に発揮出来ません。つまり代表チームで結果を残すには、相当な準備が要るのです。ただ自国のスター選手が集まったから「即結果」を期待出来る状況ではないと言えます。
オールスターはビッグクラブ
代表チームが脆弱化してきた背景は「ビッグクラブのメガ化」にあります。つまり「制限が無い状況」で贅沢な資金があれば、世界の有力選手を集める事が出来ます。それに伴い優秀な指導者の下、恵まれた施設で強化を図る事が可能になるのです。もちろん選手もスタッフも代表チームとは違い、常に一緒ですから密に連携を取る事が出来ます。そして、如何にチームを強化していくか?という「カスタマイズ」も可能になります。
もちろん、これは「ビッグクラブ」と呼ばれるクラブチームのみに可能な事であり、資金力に乏しいクラブチームは活躍した選手を「移籍金を得る為に」手放す状況を繰り返しているのですが…
少なくとも「クラブチームの隆盛」は「代表チームを凌いでいる」と言い切れますね。また「UEHAチャンピオンズリーグ」というヨーロッパのクラブチームNo1を決める大会が、今や「サッカー最大のステイタス」となりました。自国のリーグ戦やカップ戦以上に、ヨーロッパのクラブチームの目標となってます。
事実上「サッカーの総本山」はヨーロッパですので、ヨーロッパのクラブNo1が「世界一」と言えるのです。もちろん、ワールドカップは特別な大会に代わりありません。しかし、年々「クラブチームとの差別化」が進んで強化もままならない現状を考えれば「制限下の中で行われる大会」と認識すべきでしょうね。
最も賢い進め方は「自国のプロ(クラブ)リーグ」を充実させて他国へ手放さない方法ですね。そして「代表チーム」と自国の選手を多く所属するクラブチームとの実力差を極力少なくする事です。つまり「全てを自国内」で賄えば、代表スタッフとクラブチームのスタッフとの連携も密になり「イコールで強化」する事が可能になります。
このモデルケースが「ドイツ」です。
自国の「ブンデスリーガ」における「バイエルンミュンヘン」という強豪チームに、ほぼ代表選手が揃ってますから連携が可能な状況にキープしてあります。その堅実ぶりには舌を巻く程ですからね。前回ワールドカップ優勝国であり、また今回も有力な優勝候補です。
しかし…
クラブチームとしての「バイエルンミュンヘン」は、近年「UEHAチャンピオンズリーグ」で勝てなくなりました。つまり国内では無敵でも「スペイン」が誇るビッグクラブ「レアルマドリード」「FCバルセロナ」クラスには至らなかったのです。もっとも、これはドイツのサッカーにおける保守的姿勢にもよるのですが…
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またイングランドの様に「自国のプレミアリーグ」が、隆盛を誇る反面「外国人選手」も半端無く占める様になりました。結果「自国選手の芽を摘む」事に繋がり、代表チームが全く振るわない事もあります。
ワールドカップにおける代表チームとチャンピオンズリーグにおけるクラブチームのバランスは、今や完全に後者になりました。それでも母国を応援する熱だけは、些かも衰えないでいきたいものですね。
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