
南米の時代は終焉を告げました
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2018年ワールドカップ・ロシア大会はフランスの優勝で幕を閉じました。キリアン・エムバぺ(ムバッペ)という新しいスターが誕生した反面、リオネル・メッシという天才に陰りが見えてきた「世代交代」を匂わす大会だったと思います。そして日本代表が(直前の監督交代にもめげず)過去最高のインパクトを世界に与え、存在感を示しました。
それにしても波乱の多い大会と言えましたね。かっての強豪国が足元を掬われ敗退するケースも目立ちましたし、今や国際大会での「ネームバリュー」は通用しなくなってきてるのかも知れません。
そして、ロシア大会を観て強く感じたのが「南米勢の凋落」ですね。
決して選手層が薄くなったり、レベルが下がったとは思えません。前述のリオネル・メッシを始め、ネイマールやパウリーニョ等、相変わらず「タレントの宝庫」です。ヨーロッパのクラブチームにおいても主力を担ってる多くの選手は(ブラジルやアルゼンチン等の)南米出身者です。超越した個人技は抜きん出ていますし、ロシア大会においても主役になるはずでした。
にも関わらず、何故ロシアで輝けなかったのでしょうか?
南米勢の選手は今も昔も輝く原石であり、決して石ころではありません。しかし、根本的な構造上の問題が原石の輝きを失わせているのです。
メッシは誰もが認める比類なき天才ですが、所属する「FCバルセロナ」と「代表チーム」では余りにも差があり過ぎました。生き生きとゴールを積み重ねるメッシと汲々になりながらボールを追い掛けるメッシ。どちらも同じメッシです。
つまり、この部分が現在南米勢が抱える問題になっているのです。
タレントは揃っているにも関わらず輝けない。それは、代表チームとしての戦術が十分にカスタマイズされていない事を物語っているのです。料理で例えるなら「材料は新鮮で申し分無くても調理の仕方に問題がある」と言えますね。
選手としての「個」を重視し過ぎるが故に「戦術が点」になりがちで「線になっていない」のです。それは、昔の良き時代の「ワールドカップ像」をいつまでも追い求め過ぎている結果に他なりません。いくら優れたスター選手を抱えていても一人の力で全てを打開出来る時代では無いのです。
「代表チーム」としての進化が遅れてる以上、いくらスター選手を多数擁してもワールドカップで勝ち抜く事は困難な時代になってきました。その現実に気付かない限り「南米勢の躍進」は有り得ないと思います。いつまでも「スター選手」の個に頼っている限り、南米勢は今後も「万年優勝候補止まり」の存在に甘んじるだけで終わるでしょう。
下克上ではありません
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ワールドカップロシア大会での最もセンセーショナルなシーンは「日本VSベルギー戦」に他なりません。ベルギーが2点差を追い付き、試合終了直前に魅せた「カウンター攻撃」ですよね。日本人としては辛いシーンではありましたが、今後の「道標になるサッカー」であった事は間違いありません。
まさにキモは「電光石火の速さ」であるわけです。
フランスがアルゼンチンを撃沈した試合もそうですが、もはや「スピードに付いて行けなくては」勝ち抜く事が出来ないわけです。一人の「強烈な個」だけでを擁しても、スポイルされてしまえば「宝の持ち腐れ」で終わってしまうのです。
また「番狂わせ」が多い大会でしたが、世界ランキングでみるとロシア大会では以下の「波乱」が起こりました。
・メキシコ(15位)2–1ドイツ(1位)
・韓国(61位)2–0ドイツ(1位)
・日本(60位)2–1コロンビア(16位)
・ロシア(66位)1–1(PK)スペイン(8位)
そして大会上位4国のランキングも「波乱」に近いものになってます。
・優勝 フランス(7位)
・準優勝 クロアチア(18位)
・3位 ベルギー(3位)
・4位 イングランド(13位)
粗っぽい表記ですが、ロシア大会で「躍進した国」と「期待外れに終わった国」を挙げてみました。
※躍進した国(上位4国除く)
・ロシア(66位)
・デンマーク(12位)
・メキシコ(15位)
・スウェーデン(23位)
・日本(60位)
※期待外れに終わった国
・スペイン(8位)
・アルゼンチン(5位)
・ブラジル(2位)
・ドイツ(1位)
・ポルトガル(4位)
・ポーランド(10位)
上位4国を含む躍進した国と期待外れに終わった国とでは、傾向がはっきりと表れました。つまり、個に頼らない縦への攻撃や徹底した守りを固める「集団によるスピーディーさ」を完成させた国が「成功した」と言えるでしょう。対して「個に頼り過ぎ」たり、旧来のスタイルから「脱却出来なかった国」が低迷したわけです。
エンバぺ(ムバッペ)は特別な存在ですが、決して旧来の「個で輝く」だけの存在ではないのです。あくまで「スピード・フットボール」における「最先端のパーツ」であり、これからは連動型で(全員が攻撃にも守備にも)相手を圧倒するスピードが求められるわけです。
完全にスピード時代が導入された以上、かっての「ランキング上位という格付け」は通用しなくなりました。またその事に(ランキング上位国が)気付かない限り「下克上」という表現も死語としてスポイルされるでしょう。
森保ジャパンは飛躍出来るか?
「森保一・日本代表新監督」となり、改めて「2020年東京オリンピック」並びに「2022年ワールドカップ・カタール大会」を「オールジャパン体制」で臨む事になりました。西野朗監督で、ある程度の結果を出せた事が「オールジャパン」に拍車がかかったと思われます。しかし、森保ジャパンにも責任が重大です。まずは2年後の地元開催となるオリンピックから結果を出さないといけないのです。
確かに重責はかかりますが、やはり焦点は「2022年・カタール大会」に絞るべきでしょう。そして2年後の「東京オリンピック」では、4年後を見据えた戦いで若手選手を試していくべきだと思います。
2010年ワールドカップ・南アフリカ大会でセンセーショナルな輝きを見せた「パスサッカー」は、もはや時代遅れの遺物となりつつあります。サッカーにおけるトレンドは、決して「半永久的」に続かないのです。
これからは「電光石火のスピードサッカー」がトレンドになっていく事でしょう。しかし、このサッカーは日本にとって決して不利では無いと思います。まず「個に依存」するのではなく、強力なフィジカルを求められるわけでもありません。そして何よりも「全員で攻撃・守備」に参戦するスタイルは日本人向きなスタイルと言えます。
「華麗なテクニックより、コンマ1秒でも速く」
その意識を徹底する事により、しっかりとしたビジョンで取り組む。そこに戦術を落とし込んでいくわけです。どれだけ「斬新な作戦」を共有して実行出来るか?が浮上の鍵を握ってくると思われます。世界的な視野で見ると確かに面白みに欠けるサッカーになるかもしれませんが、確実に国際大会での上位進出は可能になるでしょう。
少なくとも日本代表は「決勝トーナメント1回戦・残り16分」の時点で「ベスト8の扉」に手が掛かっていたのです。それは決してフロックではなく、日本代表が「世界ランク3位(ベルギー)」を相手にしても決して引けを取らなかったことに他なりません。
決して日本代表は「世界で勝てない国」ではないのです。
そして「4年後」に結果を出す為には、まず「トレンドを体感」する環境を個々に置く事でしょうね。最先端の戦術を常日頃から経験する事により、あらゆる戦い方にも対応出来るのです。かっての強豪国がトレンドの受け入れに停滞してるようならば、さらに日本代表が(浮上できる)チャンスだと考えるべきでしょう。
決して「強烈なスター選手」が存在しなくても、ワールドカップで上位進出は可能な時代に突入したのです。ただし、この流れも「2022年」限りかも知れません。
見極めて日本流にカスタマイズする事が、4年後の(ベスト8進出への)キーワードと言えるでしょう。決して平坦ではありませんが、不可能なミッションでは無いのです。
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